出張費分析の極意:課題がみえてくる出張実績データの作り方

あなたの会社の出張実績データは大丈夫ですか?

出張実績データを分析していて毎回実感することがあります。

それはお客様からいただくデータが実に様々な形式で集計されているということです。

これは当然といえば当然のことではあります。

なぜなら出張実績データは、利用している旅行会社やシステムによって内容も形式も異なるためです。

そしてこの事実は、お客様ご自身ではなかなか気づくことが出来ません。
定期的に旅行代理店の選定を行っている企業様でもない限り、現在自社で利用しているデータ以外の形式をご覧になる機会はなかなかないはずだからです。

この出張実績データの質が、企業の出張管理現状の把握にどのような差を生むかご存知でしょうか。
同じ出張規模の企業でも、データをどれだけ正確にとれているかで今後の取組みが大きく変わってきてしまいます。

「使えるデータ」とはどんなものか?

出張費はきちんと「交通費」として経費処理しているから問題ない!と思っている方、要注意です。

使える出張実績データは「精算データ」ではなく「購買記録データ」です。

出張実績データの中にどんな要素が含まれているのか、ご利用の旅行会社からデータをもらってみてください。そして、自社の経費精算のデータと比べてみてください。
「交通費 ○○円」だけでは語りつくせない様々な情報が表示されていると思います。

わかりやすく例にとってご説明しましょう。
「食費を節約したい」というAさんご夫婦の買い物の記録です。

<夫の記録>
魚 390円
肉 580円
きゃべつ 150円

<妻の記録>
4/1 18:00 鮭 2切れ 390円 ○○スーパー
4/1 18:00 豚肉 200g 580円 ○○スーパー (タイムセール)
4/1 18:00 きゃべつ 1玉 150円 XX店 (○○スーパーより50円安い)

妻の記録の方がいつどんな買い方をしたのか、その理由、どのくらい節約できたのかが明確であるのは一目瞭然でしょう。

商品名と金額の他に、
「時間」「目的」「商品の詳細」「購入場所」「最安値情報」という要素が入るだけで購買データが生きた情報になってきます。
つまり行動そのものがデータとして「明確化」され「管理」する事が可能になるというわけです。
この「明確化」と「管理」なくして「食費を節約したい」という目的は達成できません。

データ集約の重要性

さて、1ヶ月が過ぎ、データを1つにまとめようとしたとき、妻は気づくわけです。

「データの内容が夫と異なっていたらまとめられないじゃない!」

そうなんです。
単なる買い物記録が目的の場合はこれでよかったかもしれませんが、「家計を管理する」というはっきりした目的があった場合、データ内容に差があると、情報の質が低下し、目的(食費を節約したい)が達成できたかどうか検証できなくなってしまいます。

複数の人(場所)でデータを作成する場合、気をつけなければならないのは「同一条件のもと集約できるかどうか」です。

そのためには項目を統一させるだけでなく、例えば「購入金額」といった項目であれば、その内容は「税込」なのか「税別」なのか、といった条件も同一にしておく必要があります。

出張費の検証に必要な5つのポイント

ではようやく話を「出張実績データ」に戻しましょう。

買い物記録と同じように、出張費の検証に重要になってくるのは次の5つの要素です。

1) データ集約の目的
2) 正確性
3) 検証に必要な項目の決定
4) 統一された形式・データレベル
5) 継続して記録

これらがすべて管理されていれば、購買内容が明確化され、目的達成にむけたプラン構築に役立つ分析データが作成できるはずです。

しかしながら、冒頭でお伝えしたとおり、出張実績データは、利用している旅行会社やシステムによって内容も形式が大いに異なります。

多くの場合、出張実績データは旅行代理店に蓄積されており、
・依頼しないと見ることができない
・内容が専門的すぎてわかりづらい
・業者やシステムによって使用している言葉や定義が異なる
という性質をもっています。

いざ企業内でデータを統合しようとしても、利用している各旅行会社から送られてくる膨大な量のデータを、それぞれの条件を調べながら、目的にあわせて毎月、毎年、継続的に管理をつづけていくのは、企業のご担当者にとって大変な労力がかかるということがお分かりいただけるかと思います。

まとめ

出張の多い企業にとって、間接コストの中でも非常に額の大きい支出である出張費。

経費削減という目的を達成するために、まず「データ集約」という大きな壁が立ちはだかる事がおわかりになるかと思います。

まずは自社の出張実績データの管理状況の見直しをお勧めいたします。
会社として何をすべきか、貴社の課題が見えてくるかもしれません。


トラベルコンサルティング事業部
サポートエグゼクティブ 兼 マーケティング担当
樋下田 智美