コロナ明け出張再開の今こそ確認すべき出張管理観点5選

コロナリスクを経て変わった出張管理の在り方

2022年10月現在、日本を含めた各国が出入国規制緩和をおこなう中、各企業の海外出張は増加傾向にあります。2020年からの移動制限にあった私たちの出張は、徐々に再開の兆しが見えてきましたが、この2年間で管理の観点が変化していきました。

出張管理の観点は、その時々の時勢によって変化しますが、グローバルを股にかけた移動が隆盛を極めていた2019年は、「出張コスト削減」と「オンライン化」に重きを置いた企業が多数ありました。


では、海外出張ゼロを2年間経験した私たちの出張管理の在り方は、今どこに注目すべきなのでしょうか。特に注目すべき管理観点を5つ選び、解説していきます。

今だからこそ確認すべき自社の出張管理観点5選

■観点① コスト
出張コストについては、出張量の多かった2019年にも注目されましたが、現在はよりシビアな環境になっていると言ってよい状況です。というのも、あらゆるものの値段が上昇しているように、海外出張に必要な航空券やホテル代も毎年上昇していますが、現在の航空券コストの上がり方は尋常ではありません。
注目して頂きたいのは、公示されている価格だけでなく、実際にいくらで手配できたのか、その実績価格です。前提として、未だ流動的要素が多い運輸・旅行業界にとって、2019年ほどの供給量はありません。そのため、公示価格が上昇していることはもちろん、より高い価格でしか手配できない状態が続いていることから、同じ渡航であっても、2019年比およそ120%~185%と、単価上昇が起こっています。
出張再開とは言ってもいきなり従前比較で同じ量の出張が戻る企業は多くないと思いますが、半分の50%程度であっても出張コストが2019年と同じくらい膨れ上がる可能性があり、70%程戻る企業は今までで一番高い出張コストに遭遇する可能性があります。


■観点② 安全
社員に対する安全配慮義務を負う企業にとって、海外出張における安全対策も年々注目を浴びていますが、この2年は爆発的に注目が集まりました。出入国の規制緩和がなされたからもうそれほど気にしなくてよいのでしょうか、一概にそうとは言い切れません。この2年間はリスクを取ってまで出張する機会は少なかったかもしれませんが、これからはその機会が増えることになります。
一定、コロナに関するリスクは下がったとはいえ、元々あったあらゆる渡航リスクにコロナ関連リスクがオントップされている状態はしばらく続きそうです。
出張者も管理者も、出張1件に対する重みが変わったと言えます。


■観点③ 出張手配
最近、海外出張手配をした企業の皆様は、手配に多くの時間がかかることを感じていらっしゃるのではないでしょうか。現在、手配オペレーションを供給する旅行代理店側がひっ迫しています。この2年間を生きるために、殆どの旅行代理店は社員を出向に出しているため人材不足です。加えて、コロナ前と比較して、1件1件の出張手配において確認しなくてはならない情報が格段に増えました。それは、未だコロナに関する出入国規制がなくなった訳ではないことを意味します。
私たちトップレップは、オンラインブッキングツールの導入支援を数多く手がけてきましたが、単純な往復のみの旅程であれば、今後はツール上で手配をする方が利便性が高く、コスト抑制も期待できます。ご存知の通り、航空券やホテルの価格はタイミングによって前後するため、基本的にはより早く手配できた方が安価になる可能性が高いです。そのため、航空便のスケジュール照会や空席照会を、時間をかけて旅行代理店とやり取りしている間に、ものの数分で手配できるツールはコスト優位性が高いと言えます。
また、ツールには各国・各都市の安全情報を渡航地ごとに表示したり、それを確認したことをクリックしないと手配が完了しない等の設定が可能なため、単純な往復のみの旅程であればツールの利便性は高く、このツール手配が整備されているか否かの差は大きくなります。


■観点④ 社員ケア
健康経営や社員のウェルビーイングという言葉が様々な場面で使われるようになりました。出張も他人事ではありません。コロナの2年間を経験し、生活様式が変わった方は多くいらっしゃると思います。それぞれご自身の状況、ご家庭の状況がある中、少なくとも2019年以前と同じような心持ちでの出張は困難となっています。
たとえば、今まさに課題になっているのが海外現地で感染してしまうこと。当然のことながら人の移動が増えれば感染者も増えるでしょうが、誰しもがそれぞれの状況を抱える中、しばらく帰って来られないなんてことになったらそれは大ごとです。
出張する社員をケアする仕組み作りは、健康経営、社員のウェルビーイング、そしてそれらが密接に結びつく会社への帰属意識(エンゲージメント)にとって欠かすことのできない観点となっています。


■観点⑤ サステナビリティ(中でも気候変動対策)
「SDGs」「ESG」 様々な言葉で語られる気候変動に対する脱炭素、実は出張も無関係ではないことをご存知でしょうか。実は、出張における温室効果ガス排出は、国際基準において管理すべき項目の一つに指定されています。製造業の多い日本においては、まずは工場排出や使用するエネルギーが着目されがちですが、カーボンニュートラル目標を立てている企業にとって、出張における脱炭素も避けては通れません。

出張が爆発的に増える前の見直しがおすすめ

いわゆるアフターコロナの出張管理において、重要となる観点は前述した通り、明確になってきています。出張が爆発的に増える前に対策が取れる要素ばかりですので、今の内に自社の出張動向を確認し、必要となる観点にアジャストしておく必要があります。

5つの観点すべてでも、1つでも構いません。
未来予測ができているからこそ、今の内から取り掛かり、効果を出していきましょう。

トラベルコンサルティング事業部
シニアコンサルタント
西ヶ花 竜希

コンサルティングレポート(自社出張動向調査)
2020年の出張減衰期、2021年の出張ゼロ期、2022年の出張再開模索期を経て、様々な環境・意識の変化が生まれ、これからの出張管理に求められる観点は2019年とは大きく変化しています。
コスト面だけではなく、安全配慮、社員のケア、サステナビリティへの意識が求められるこれからの出張管理に向けて、企業の出張動向を可視化・分析し、それぞれの課題に対するソリューションをご提案いたします。