海外ホテル調達 治安リスクとの関係

海外ホテル領域は調達の空白地帯である日本企業が殆ど

皆様の会社では海外ホテルについて調達活動を会社として取り組んでいらっしゃいますでしょうか。
海外出張の内、航空券に次いでコストシェアが高い海外ホテルですが、まだまだ取り組める領域が残されている企業が殆どのようです。

海外航空券については調達戦略を組んでいる企業がどんどん増えてますが、海外ホテルについては出張者にホテル選択を一任していたり、現地法人で手配することが多いのではないでしょうか。

なぜ海外ホテルについては調達の空白地帯となるのか。

その要因のひとつに「治安リスクとの関係」があります。

 

会社として海外ホテル調達に取り組みづらいのは治安リスクがあるから

海外ホテルに比べれば圧倒的に選択肢が少ない航空会社ですが、そもそも日本に乗り入れる航空会社については運航の安全性があらゆる機関によって調査されているため、消費者としては安全性の観点が一定度合い担保された状態から選択が可能です。

一方、海外ホテルについては無数に存在し、一都市の海外ホテルを何のフィルタもかけずに検索すると何十ホテルも選択肢が存在します。
会社のお金で渡航するので予算が存在し、ある程度コスト優位性が高いホテルを選ぶべきではありますが、同時に考えなければいけないのはそのホテル周辺地域の安全性、治安リスクです。

現地の治安リスクを一番知っているのはそこに住んでいる人、そのため現地法人に手配を任せている企業が多いのはうなずけます。
しかしながら、調達というのはいつの世もいかに購買行動をコントロールするかにかかっており、出張者や現地法人に一任している状態ではせっかくのバイイングパワーが分散してしまっている可能性があります。

 

日本にいながら海外各都市の治安リスクを各出張者が自前で判断するのは困難

紛争があったり、疫病が流行ったりすればその都市丸ごと出張規制をかけることは容易ですが、同じ都市の中でも安全な地域、ビジターにとっては危ない地域があり、そこまで細かく各出張者に判断させるのは困難です。

例えばサンフランシスコ、サンフランシスコは全米の中でも安全都市TOP10に入る常連都市です。
サンフランシスコは多くの観光客がおり、またシリコンバレーが近いことから出張者も多く訪れる都市です。中心部を走る地下鉄(BART)も比較的安心して乗車できます。

しかし、サンフランシスコ全域が安全なのかといったらそうではありません。
サンフランシスコにあるテンダーロイン地区は現地の人なら誰もが知っているあまり近寄りたくない場所。
このテンダーロイン地区は地下鉄(BART)最寄り駅で言うとシビックセンター駅なのですが、日本に住んでいる我々の感覚からすると市民センター周辺が危険と言われてもピンと来ませんよね。
しかもこのテンダーロイン地区、サンフランシスコで最も有名な広場、ユニオンスクエアの至近なのです。ユニオンスクエアには多くの店舗があり、有名ホテルが周りを囲んでいますが、危険地域と言われているテンダーロイン地区のすぐ近くなのです。

安心できる場所と危険な場所が隣り合わせ、ここが治安リスクを判断する難しいポイントです。

 

治安リスクに配慮しながら海外ホテル調達を取り入れる方法はある!

治安のいい地域のホテルを調達し、集中購買を図る事でコストは大幅に下がる企業があります。
しかし、治安リスクばかり気にして一等地にある有名ホテルばかり手配をしていたのでは調達力に優れているとは言えません。
コスト優位性もあり、治安リスクも担保できるホテルを調達し、かつ出張者が便利に手配できる仕組みを取り入れることで、自然とガバナンスが高まり、コストも削減できるでしょう。

海外ホテルについては航空会社の調達と比較して何倍も気にしなければいけない観点があり、また仕組みづくりには多くのノウハウと工数がかかります。
一方、出張者や現地法人にホテル選択を一任している状態ではコスト最適化の問題や治安リスクの問題が残ります。
出張者別のコスト意識の差でホテル手配料金が異なったり、コスト安を目指すばかりに治安リスクの観点が考慮から外れてしまったりと、様々な問題が各社様から聞こえてきております。

治安リスクに配慮しながら海外ホテル調達を取り入れる方法はある!と題しましたが、方法がありますので、ぜひとも取り組みをご検討ください。

 


トラベルコンサルティング事業部
シニアコンサルタント 兼 セールスマネージャー
西ヶ花 竜希