外部委託・BPOはコロナショックの特効薬となるか

業績回復のためにはどうしたらいいか

新型コロナウイルスによる影響を受け、日本では戦後最大の経済危機を迎えるといわれています。2020年5月後半より段階的に全国での緊急事態宣言は解除されましたが、経済に与えたダメージは大変大きいものとなっています。
このような状況下において、多くの企業では今後の経営方針の軌道修正を余儀なくされ、経費のあり方についても見直さざるを得ない状況でしょう。

より短期間で成果を出すためには、社員のコア業務への集中が必要であり、専門的ノウハウを持った企業や人材に外部委託することも一つの選択肢です。

そこで今回は、アフターコロナ対策として企業が積極的に取り組むべき課題の一つ、業務の「外務委託(アウトソーシング)」と、「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング / Business Process Outsourcing)」の重要性について考察いたします。

 

外部委託できる業務・できない業務

全ての業務が外部委託やBPOに適しているというわけではありません。

企業内にノウハウを蓄積しておくべき業務、企業活動のキーとなる業務については、人材を育成し内製化させていくことが望ましいといえます。

では「外部委託」に適している業務はというと、以下のような業務が望ましいとされています。

1.自社で保有していない専門的技術・知識が必要な業務

2.量の多い単純作業(ルーティーン業務、単発業務)

上記のような要素を持った業務は、外出しすることで業務効率化がアップし、高度な専門知識を持った人材に業務を任せることで業務品質向上が期待できます。
また、業務範囲が明確であるため、企業としても委託内容の設定が明確となり、自社内で人材確保し育成するよりも低コストで目的が達成できます。

 

外部委託とBPOの違いは何か

ここで一旦確認しておきたいのが、「外部委託」と「BPO」の違いです。
「外部委託」が単に「自社での業務を外部に委託する」という意味合いであるのに対し、「BPO」は「その企業におけるビジネスプロセス自体を外部化させる」というものです。

よって、「BPO」は単に業務を分散させ「単純業務」の効率化を図る「外部委託」とは求められる要素が異なります。BPOに適した業務は、先ほどの1.2に加え以下の3.4も挙げられます。

3.社会の動きやトレンドによって判断が左右される業務

4.専門知識を有した第三者による公正な判断が必要とされる業務

コロナショックを打破するために立ち上げなければならないプロジェクトや、組織改革推進において、自社内だけで満足なリソースを確保することは非常に難しいため、業務プロセス自体ををまとめて「BPO」することで成功への近道を作ることが可能です。

 

トラベルマネジメント業務はBPOする価値がある

特にトラベルマネジメント業務は、上記に挙げた要素をすべて含む業務のため、外部委託やBPOに非常に適した業務といえます。
その理由としては、

・旅費や旅行業界に関する知識は大変複雑であること
・渡航データや購買データの集約・分析作業の業務量が非常に多いこと
・社会情勢によりトレンドが毎年大きく変化すること
・特に日系企業においてはトラベルマネジメント専門の部署(担当者)不在のケースが多いこと
・社内の人間では社内風習や慣習、部署間の力関係に左右されてしまい、最適な管理フローやベストバイの判断に迷いや漏れが生じてしまうこと(=客観的見地に欠けること)

が挙げられます。

現在は日本企業においても国内外への出張禁止令が出ている企業が殆どですが、コロナ後の「出張の在り方」「リスク・安全管理体制」「最適な出張コストの見極め」については、今後企業において今まで以上に管理を強化しなければならない領域となります。

日本企業においては未だ外部委託やBPOが浸透していないケースも多く見られますが、これを機にトラベルマネジメント業務のBPOについて、本格的に検討してみる価値は大いにあるのではないでしょうか。

 


トラベルコンサルティング事業部
シニアコンサルタント 兼 アナリスト
樋下田 智美

 

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【対談】アフターコロナで変わる出張の在り方

これからの出張の在り方、また新しいリスク対策として何が企業に求められるのかについて、医療とセキュリティアシスタンスサービス提供企業であるインターナショナルSOSジャパン株式会社様と株式会社トップレップの対談が実現しました。

専門家2名による貴重な対談内容をぜひご一読ください。